2019年1月24日 | グローバルCIO スコット・マイナード
私はダボスのムードが、その後数か月の投資リターンを予測させる力を持つことにいつ も驚かされる。昨年は、到着した瞬間から、世界経済の強気な成長見通しで沸き立つ雰 囲気を感じた。減税による高揚感で、株価が放物線状に上昇して舞い上がり、青天井となっていた。
当時指摘したように、私はダボスのムードが投資見通しの逆指標となるのではないかと 考え始めた。過去の経験から、ダボスのコンセンサスは短期的に残念な投資結果をもたらすことが証明されていた。昨年は、長く待つことなく2 月に、株価が暴落した。
今年は、世界経済の見通しに関する懸念が明らかである。「G650 型機」や「グローバ ル・エクスプレス」(いずれもエリート層の最高級ビジネスジェット)がフリードリヒスハーフ ェン空港に揃って着陸の順番待ちしていたちょうどその頃、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド氏はダボスから、世界の指導者たちの政策的失態が一因で、成長見 通しは暗くなっていると明言した。「世界経済フォーラム」会議の最初の2 日間、世界の市場は先月のリスクオン・ラリーが静まり始めたとして警戒シグナルを発していた。
中国では、習近平氏が国内の景気減速は彼の政治生命のみならず、共産党自体にとっても存亡の脅威となると警告を発した。英国では、テリーザ・メイ首相が議会に対して、ブ レグジット(英国のEU 離脱)案に同意できなければ、2 回目の国民投票を行うことにな りかねず、民主主義制度の存在そのものを揺るがすだろうとまで言い放った。
Wow! これ以上ネガティブになんてなれるだろうか?
最新情報によれば、世界経済は減速しているが、まだ成長している。米国経済は恐らく 減速するものの、2019 年の成長率は潜在成長率以上を維持するだろう。
さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)が第2 四半期に入ってもしばらく利上げの一時停止を続けることはほぼ確実であり、成長維持のために必要ならば、利下げもあり得る と市場は織り込んでいる。
欧州の成長見通しは暗い。ドイツはテクニカル・リセッション(定義上の景気後退)に入る 可能性があり、アンゲラ・メルケル首相は新たな減税を求めている。財政刺激策を行う 余裕のある国々の中では、ドイツは筆頭格である。ドイツには財政規律の歴史があり、実行するのに十分な態勢にある。欧州最大の経済国として、ドイツは欧州の成長をけん 引する機関車という極めて重要な役割を担うだろう。また、燃料となるマネーは欧州中央 銀行がマリオ・ドラギ氏の指導の下で新たな長期資金供給オペ(LTRO)という形で供給する可能性が高い。
一方、習氏のディフェンシブなレトリックにもかかわらず、政策当局者は警戒・交戦態勢 にある。減税と新たなインフラ・プログラムのほか、中国人民銀行は金融政策を緩和し始め、預金準備率(RRR)を引き下げるとともに、必要に応じて実際に利下げする可能性 があることを発表した。中国株は長らく下落していたが、最近落ち着きを見せ、他のグロ ーバル株に比べて魅力的なバリューを提供し始めている。
そして、あと一つ残された経済大国が日本である。インフレ率は引き続き低位で推移し、 日本銀行(日銀)は量的緩和(QE)をまだ続けている唯一の中央銀行である。インフレ率 と成長率が低下し続けても、日銀は依然として資産買い入れを増やす柔軟性を備えて いる。というのは、日銀は現在、年間目標の約半分しか買い入れていないからだ。手元 資金が潤沢なため、速やかな政策対応が可能と思われる。
私は世界同時減速が進行中という点でここダボスに集う要人たちと同意見だが、景気後 退懸念は度が過ぎている。どちらかと言えば、見通しは明るくなりつつある。政策当局者が長引く貿易戦争とナショナリズムの高まりでリスクが増大していることに気づき始めて いるからだ。
愚行が続くかもしれないが、誰もが世界的な景気後退リスクに直面したくないと考えている。政治家はこれまで行ってきた政治的な賭けについて思案しており、最も頑なな姿勢でさえ今後数週間内に和らぐ可能性が高い。
市場は荒れ模様が続きそうだが、魅力的なバリューを提供する投資対象は多い。短期 的に景気後退がないならば、リスク資産は回復すると見込まれ、場合によっては高値を 更新する展開もありそうである。例えば、米国株は強気一色だった昨年のダボス会議の 頃よりも現在の方が割安になっている。当時「買い」だったならば、今はバーゲン(お買い 得な特価品)であろう。
ダボスの暗いムードはまたも逆指標となるかもしれない。ダボスで点滅する黄信号は世 界の経済成長が減速しているというコンセンサスな予想を示唆している。過去の経験に よれば、これは経済がじきに再び加速する可能性が高く、リスク資産のパーティが続くこ とを示唆すると言えよう。
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